見過ごされてきた日本経済の奇跡の英雄たち

ある授業で学生たちに1960年代から1970年代における日本経済の驚異的成長の英雄は誰なのかを問いかけたことがあります。戦後の日本再建のために昼夜を問わず精力的に働いた献身的なサラリーマンたちでしょうか？ それとも、家族のより良い未来を確保するために熱心に勉強した勤勉な息子や娘たちでしょうか？ それとも、あるいは、家族を支え、世話をした寡黙で忍耐強い母親たちでしょうか？ それ以外の、国の成功に貢献した個人でしょうか？ この質問は、学生たちに表面的な考え方に留まらず、戦後日本の変革を形成した広い貢献を認識する機会を与えました。

1960年代から1970年代にかけての日本の驚異的経済成長を思い浮かべるとき、人々の頭によく浮かぶ画像は、スーツを着た男たちが、混雑した東京の地下鉄に車両の門が閉まるまで抱え込まれる様子です。「今朝もまた、日本のサラリーマンがこの国の未来を切り開くために出勤していきます」という物々しいテレビのアナウンサーの声とともに、駅員が彼らを素早く電車に押し込んでいく。

このナラティブは、努力するサラリーマンを日本経済の驚異的成長の英雄として描くするメディアの作り上げによって、人々の記憶に深く刻み込まれてます。これらの男性たちが精力的に働いたことは否定できないが、この変革の時代に女性たちが果たした役割も同様に無視されるべきではないと思います。

目に見えず、見過ごされがちな貢献

戦後の日本の伝統的で男性主導の社会において、女性の貢献は不認知かつ相対的に見えないものでした。多くの女性は、母親として家庭を管理し、子供を育て、夫が社会の経済的反映を受けながら、自身を支えていました。それは、実は、「亭主関白」と呼ばれる概念に根ざしされている文化に深く根ざしされています。

他の多くの女性たちは、オフィスレディ（OL）として職場に出たり、家業やレストラン、農場で働いたりしました。これらの労働は、正規であれ非正規であれ、家庭や地域社会を支えるうえで非常に重要でした。しかし、それらの仕事は無給や低賃金であることが多く、その価値が評価されることはほとんどありませんでした。例えば、洗濯機や冷蔵庫といった技術革新が家庭に導入され始めた時代、メディアはこれらの発明が「母親の負担を軽減する道具」として描写しましたが、彼女たちが提供する無報酬の労働や、感情的・後方支援的貢献の本来の価値を認めることなく、母親の生活を「楽に」する道具として描かれました。

例えば、1970年代において男性の労働力参加率は80%を超えていましたが、女性の参加率は政府統計によレバ52%程度にとどまっていました。しかし、この数値は、家族経営の農場経営や地元企業の支援など、女性の無報酬の貢献を考慮していません。

メディアにおける女性の描写：見えない存在から対象化された存在へ

日本経済が急速に成長した時期、メディアにおける女性の描写も大きく変化しました。1960年代から1970年代にかけて、広告やエンターテインメントメディアは女性を性的対象として描く傾向を強めました。たとえば、「平凡パンチ」のような出版物や「ミニスカートブーム」は世界的なトレンドを反映していましたが、フェミニズムの議論が未成熟だった日本の男性中心の社会においては特に独特な意味を持ちました。この対象化は、女性が主に男性の消費対象として存在するという観念を強化し、家庭や職場での女性の実質的な貢献をさらに覆い隠しました。

また、当時の多くのテレビドラマやアニメでは、オフィスレディがゲストや上司にお茶を出し、会議や重要な会話から外れて消えていく姿が描かれていました。こうした描写は、女子にも男子にも女性の役割に対する認識を微妙に枠付けし、社会の期待に対する理解を形成しました。時代は変わり、こうしたシーンは今日ではあまり見られなくなりましたが、それでもこうした古い価値観の名残が日本社会にはまだ根付いています。

根強い男女格差

現代に目を向けると、日本は他の先進国に比べてジェンダー平等の課題に依然として取り組んでいますが、OECDやG7諸国の中で、日本は政治や企業リーダーシップにおける女性の代表率で最下位近くに位置しています。例えば、2023年の時点で、女性は日本の衆議院議員のわずか10%、主要企業の役員の15%未満を占めており、世界平均を大きく下回っています。

希望の光

こうした課題にもかかわらず、前進の兆しも見られます。日本の歴史上初めて、大学卒業者の数において女性が男性を上回りました。文部科学省のデータによると、2010年代には女性の高等教育への進学率が50%を超え、東京大学のような名門大学でも女性学生の割合が過去10年間で着実に増加しています。

社会や企業は、女性の貢献の重要性を道徳的な観点だけでなく、経済的必要性からもますます認識するようになっています。多様性のあるリーダーシップを持つ企業は、そうでない企業よりも一貫して高い業績を上げており、日本の高齢化社会は女性を含む全労働力の活用を必要としています。

過去を認め、未来を形作る

こうした進展がある一方で、1960年代から1970年代にかけての経済成長期における女性たちの犠牲や努力を認めることは依然として重要です。次世代を育てた母親たち、企業活動を支えたオフィスレディ、家業や農場で働いた女性たちこそが、この変革期の隠れた英雄だったことは否定できないと思います。彼女たちは、現代日本の基盤を築いたサラリーマンや子どもたちに食事やケアを提供し、現代の日本を支えたのです。

彼らの貢献は、定量化することが難しく、見過ごされがちではあるが、歴史的な記述で称賛される技術革新やインフラストラクチャーと同様に不可欠なものでした。私たちが未来に目を向けるとき、現代日本の礎を築いた彼女たちの役割に敬意を表し、女性がもはや単なる無言の支援者ではなく、国の軌跡を形作る対等なパートナーであることを保証することが不可欠ではないでしょうか。